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社会保険の短時間労働者への適用範囲拡大について
2022-04-01
2022年度の年金制度改定。その中の1つ「社会保険(健康保険・厚生年金)の短時間労働者への適用範囲拡大」に関する話題です。
今年10月1日から施行される、社会保険に関する制度変更は下表のとおりです。
【社会保険(健康保険・厚生年金)の短時間労働者への適用要件(概要)】
対象 | 要件 | 現行 | 2022年10月~ | 2024年10月~ |
事業所 | 規模 | 常時500人超 | 常時100人超 | 常時50人超 |
短時間労働者 | 労働時間 | 週の労働時間が20時間以上 | ||
賃金 | 月額8.8万円(年間106万円) | |||
勤務期間 | 勤続して1年以上勤務の見込 | 継続して2ヶ月を超えて勤務の見込 |
社会保険の適用要件、いわゆる「106万円の壁」に関わる変更ですので、関心の高い方もいらっしゃると思います。
「壁」という意味では、「106万円の壁」以外にも、「103万円の壁」・「130万円の壁」・「150万円の壁」という言葉も使われますが、それぞれの「壁」について整理してみましょう。
【夫がサラリーマンで、妻が働く場合に意識する年収(壁)】
妻の年収 | 視点 | 「壁」の内容 | 備考 |
103万円 | 妻の所得税 | 妻の所得税が発生する年収 | |
106万円 | 妻の社会保険 | 妻が勤務先で社会保険に加入しなければならない年収 | 上記の「適用要件」に該当する会社に勤務の場合 |
130万円 | 妻の社会保険 | 妻が夫の社会保険の扶養対象から外れなければならない年収 | 上記の「適用要件」に該当する会社に勤務の場合 |
150万円 | 夫の所得税 (所得控除) | 夫が配偶者特別控除を満額(最高38万円)受けるための年収(*) | |
201.6万円 | 夫の所得税 (所得控除) | 夫が配偶者特別控除を受けられなくなる年収 |
*夫の所得1,000万円以下の場合に適用
「扶養範囲等の制限を超えて夫婦ともに社会保険料の負担が発生すると、世帯の手取り額が減ってしまう」という声が多く聞かれます。
対策としては・・・
①「106万円の壁」「130万円の壁」を超えると社会保険料の負担が発生するので、この壁を超えないような働き方
②社会保険料や所得税・住民税などを差し引いても、世帯での年収が増えるような働き方(社会保険に加入すると、公的保障が充実)
各家庭の状況・妻の「可能な労働時間」・「働き甲斐」等により、結論はそれぞれだと思いますが、どちらを選択するか充分に検討する機会にしてください。